『人工知能 人類最悪にして最後の発明』 ジェイムス・バラッド 読んだ。
最近、自分の中でも人工知能(AI)に関する記事や本への注目度が上がっている。
2045年頃に来るという「シンギュラリティ」に向けてバラ色の人類の未来が語られる一方で、あのビル・ゲイツやイーロンマスク、宇宙物理学者のホーキング等が危惧を表明している。本書はジャーナリストである筆者がこの<2045年問題>を論じたものである。
「(IBMの)ワトソンは、もう1つ興味深いたぐいの知能を見せつけた。搭載されているDeepQAソフトウェアは、考えられる答えを何百も生成して、それぞれの答えに対する証拠を何百も収集する。そして、それぞれの答えを自信度に応じてランク付けして選り分けていく。『ジェパディ』(TVのクイズ番組)では間違った回答をするとペナルティーがつくため、ワトソンは答えに自信がなかったら何も回答しない。つまり、自分にはわからないということがわかるのだ。確率論的な計算が自己意識を形作っているなどとは信じられないかもしれないが、はたしてそのような計算を突き詰めていけば自己意識へたどり着くのだろうか?ワトソンは本当に何かを知っているのだろうか?」
ちょっと長い引用だが、この記述は驚くべきことを気付かせてくれた。もしろん何百も考えられる答えを生成しているかは兎も角、これは我々が頭の中で日々やっていることと同じだということだ。
また、これをまとめて、
「ワトソンは統計的知識を扱っているのであって、「真に」理解しているのではないと、あちこちで書かれている。それを読むと多くの人は、ワトソンは単語列の統計を収集しているだけだと解釈する。・・・・・人間の大脳皮質に分布している神経伝達物質の濃度を「統計的情報」と呼ぶのも、同じようなものだ。人間が曖昧な事柄を解決する場合とほぼ同じ方法で、ワトソンもフレーズのさまざまな解釈の確からしさを検討する。」
本書の末尾に、米国とイスラエルがイランの原発システムにマルウェアを侵入させた話が出てくる。この話自体はどこかのニュースで見た記憶があるが、その結果、意外な顛末となったことは知らなかった。敵を攻撃するための技術が自分を攻撃する技術開発を支援する結果となったようだ。
人工知能を多面的に考えるうえで、本書は多くの好材料を提供してくれていると思う。
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